量子コンピュータが人工知能を加速する

  

量子コンピュータが人工知能を加速する

量子コンピュータが人工知能を加速する

 

 

随分先の未来の機械だと思われていた量子コンピュータは2010年代に盛んに研究されて、実は最近では実際に使えるようになっている。量子コンピュータを動かす方式として、量子ゲート方式と量子アニーリング方式がある。前者の方式が従来は有力と見られていたが、最近実現された量子コンピュータ量子アニーリング式を採用している。本書を書いたのは他ならぬ、量子アニーリング方式を考案した研究者だ。難解な量子力学の方程式をしっかりと理解していなくても量子力学の応用として生まれた量子コンピュータが分かるように書いてある。本書を読み進めると、量子コンピュータを動かす原理に関わる重要なブレイクスルーには多くの日本人研究者の成果が関わっていることが分かる。しかし残念なのは、ブレイクスルーに日本人が関わっていても、それを応用する段階では欧米の企業が先手をとり、実現したことだ。別に国益が云々という事を言いたいわけではないが、日本の非凡な才能が基礎研究で突発的に成果を挙げることができても組織的に確実に技術を発達させるという点では日本のやり方では生産性が海外にはるかに及ばないということなのだろう。
 
Googleが2015年に量子コンピュータは「従来のコンピュータの1億倍早い」(https://www.sciencealert.com/google-s-quantum-computer-is-100-million-times-faster-than-your-laptop)という発表をした。ただし、量子コンピュータは従来のコンピュータよりも常に1億倍早く計算ができるという訳ではない。従来のコンピュータの方式では時間が掛かるが、量子コンピュータの方式に向いた課題に対しては1億倍早い、ということだ。
 
どういう問題かというと、
「組み合わせ問題」だという。
 
◯ 巡回セールスマン問題
巡回セールスマン問題をご存知だろうか?Wikipedia;https://ja.wikipedia.org/wiki/巡回セールスマン問題
 
 
上の図は、巡回セールスマン問題を解くコンピュータのアルゴリズム見える化したものだ。
7つの点があるが、例えば、札幌、仙台、東京、名古屋、京都、大阪、福岡の7つの都市を最短距離で回るとする。これはわかりやすい例で、おそらく北から順番に回るのが一番良いというのが直感的にわかる。ただし、厳密に比較をするならば、順列問題の組み合わせを考え無くてはならない。高校数学の知識を使えば、7箇所を全部回るパターンは
 
7×6×5×4×3×2×1 = 5040 通り
 
あることが分かる。5040のパターンの移動距離を全部計算するのは手作業では骨が折れる。現代のコンピュータならこの位の数ならば一瞬で計算をして最も距離が短い道順を求めることができる。
 
でも、回らなきゃいけないのが47都道府県の各県庁所在地47箇所になったらどうだろうか?
 
パターンの総数は47! = 2.58… ×10e59 (10の59乗) になった。ケタが多すぎてなんて読めばいいのか分からない。1秒で1京パターン(10の16乗)の計算ができるコンピュータを使っても全てのパターンを知るためには10の43乗 秒かかる。宇宙が始まってからそのコンピュータを動かしてもまだ答えがでないくらいだ。
 
量子コンピュータはこうした組み合わせ問題を一瞬で解くポテンシャルを秘めているものだ。
コンピュータの演算は0と1の組み合わせからなる。従来のコンピュータは0と1を順番に表示するものだ。だから1万パターンを表そうとするならば1万回の試行が必要だ。でも、それを量子に置き換えた時には一瞬になる。それは何故かと言うと、
 
量子は0と1が同時に存在することを表せるから。
 
◯ D-WAVEの挑戦
量子アニーリング効果を使ったコンピュータは量子の0と1の重ね合わせの状態を超伝導状態を使って再現する。なんと、小さなリングに電気を通すだけで時計回りと反時計回りのそれぞれ逆の電流が同時に流れるという減少が起きる。D-WAVEは量子アニーリングという現象が発見された後、世界から無理だといわれつづけながらもプロジェクトを進めて、本物の量子コンピュータを作るに至ったカナダのベンチャーだ。
 
◯ どうして一瞬で表せるのか?
0と1を同時に表せるとどうして一瞬で解けるようになるのか?量子は性質として、一番安定な基底状態をとる性質がある。この基底状態=問題の解になるように問題を置き換えてやる。このような置き換えのテクニックを用いてやることで、上の問題であれば無数の状