これまで新興国や米国外の先進国が見舞われていた株価の低迷が、2018年10月になりついに米国株をも苦しめるような相場になっています。記事を書いている時点で、ピーク時よりも株価は10%程度低下しています。
株価の下落
いわゆる景気後退というのは20%以上の株価の下落があった時のことを指すようですが、そこまで株価が落ちるのかどうか、注目しています。
リーマンショック以来、チャイナ・ショックなどと小規模な下落には見舞われていましたが、10年ほど米国株は絶好調で景気後退というような株価の低迷には見舞われていません。
株価があがりすぎているようなサインはたくさんあって、長期的なPERを表すCAPEは未だに30程度と高く、株価時価総額はGDPの1.3倍を超えています(バフェット指数)。今後、米国株が一本調子に同じくらいのペースで上がり続けるのは考えにくい、とここかしこで言われています。
FRBも景気の引き締めの政策を続けています。
多くの人がそろそろ下がるかな・・・などと考えている一方で、アメリカの大統領であるトランプは中間選挙が近いこともあり、自ら仕掛けた貿易戦争をうやむやにしようとしているような雰囲気もありますが、、、長期的にはどこかで適正な株価に戻ると思います。一番いいシナリオはアメリカが未曾有の好景気になって2%程度のはずだったGDP成長率、米国企業のEPSがとんでもないスピードで伸びることなのかも知れませんが、、、いずれにせよ、好景気には終わりはいつかは来ます。
暴落を迎える心構え
正直、私も大きな暴落は体験したことがなくて、まともに投資を初めた直後にチャイナ・ショックに見舞われた程度です。チャイナ・ショックなんて実はリセッション(景気後退)のうちにも入りません。今では当時よりもだいぶ資産規模も増えたため、数十パーセントの下落を取り戻すための新たな積み増しは年単位を要する可能性があります。
過去の記事を見ていて分かる通り、私はかなりリスク管理には敏感な方です。大きく儲けることよりもどちらかというと下落相場を乗り切ることを中心に考えているからです。
今回の下落はまだ10%。トランプの善戦で年末に株価は戻すかも知れないし、戻さずに世界的なリセッションに突入していくかも知れません。リセッションになれば米国株は30-40%程度の大きな調整を迎えるかも知れません。
リセッションの時に慌てて買い戻しを続けていくと落ちるナイフを掴むかのように怪我をするだけかもしれないので、過去のリセッションがどれほど続いたのかをよく把握しておく必要があります。
本記事では1950年以降のS&P500のりセッション相場を見てみます。
1950年以降のS&P500の下落相場
Pythonで取得したS&P500の配当を含めないチャートです。対数スケールにしてあるので若干下落相場が見えませんが、ちょくちょく下落しているのがわかりますね。
これを下落のみをみたチャート(ドローダウンのチャート)に変換します。
こちらのほうがドローダウンがよく分かると思います。1950年以降に20%以上株価が下落したのは約9回ありました。2010年ごろまでの60年で9回だから大体6-7年に一度はリセッションに見舞われている計算です。
リセッションの始まりから終わりまでの期間、リセッション中に最安値をつけた日付、最大下落率を以下にまとめてみました。
始まり | 終わり | ボトム | 最大下落率 |
1956/8/3 | 1958/9/24 | 1957/10/22 | 21.50% |
1961/12/12 | 1963/9/3 | 1962/6/26 | 28.00% |
1966/2/9 | 1967/5/4 | 1966/10/7 | 22.20% |
1968/11/29 | 1972/3/6 | 1970/5/26 | 36.10% |
1973/1/11 | 1980/7/17 | 1974/10/3 | 48.20% |
1980/11/28 | 1982/11/3 | 1982/8/12 | 27.10% |
1987/8/25 | 1989/7/26 | 1987/12/4 | 33.50% |
2000/3/24 | 2007/5/30 | 2002/10/9 | 49.10% |
2007/10/9 | 2013/3/28 | 2009/3/9 | 56.80% |
下落率でいうと2000年代に2回あったリセッションはいずれも50-60%の下落幅を示しており、かなり手痛いものになっています。
今、1ヶ月も経たずに10%下落したことで急な暴落というようにも見えますが、これまでのりセッションはいずれもゆっくり大きく下落して、また、時間をかけて戻していく事が多かったようです。
平均して約15ヶ月(469日)かけてどん底まで落ちて、その後景気が立ち直って戻っています。その都度かかる時間は異なりますが、平均して下落の開始から戻すまでに3年半(1314日)かかっています。
あせらない、あせらない
本当の下落相場は慌てずともゆっくりと進んでいきます。少し下がったからと言って明確な戦略なしに慌てて売らない方が良いように思います。逆に、ナンピンするにしても慌てて買っても時期が早すぎた、ということもあるかも知れません。私はルールに決めて冷静に買い増しをしていこうと思います。
人気ブログだったら「度重なる下落に見舞われても米国株は右肩上がりを続けていました。信じて保有し続けましょう。」とか書くのかも知れませんね。とにかく、退場しないようにがんばりましょう。
コメント
素晴らしい考え方をありがとうございます。
自分のポートフォリオでもDDをグラフ化とデータフレーム化でみてみたいので、よろしければpythonコードを教えていただけないでしょうか。
コメントありがとうございます。当時と同じコードではないかと思いますが、現行ではこんな感じのコードを使っています。
pandas, matplotlib, numpyあたりに慣れてくると色々できるので、ぜひお勉強してみて下さい。
https://drkernel.net/data/2022-02-19-StockPerformanceAnalysis.html