カーネギーと聞いて、鉄鋼王の本がある!と思って勘違いして読んだ本ですが、中身を開けて見れば、不安を克服するためにはどうしたら良いのかについて書かれた本でした。
筆者がこれまでであった生徒、不安を抱える人々のケースをベースに、不安を乗り越える方法を論じている。どうして不安に思うのかを分析する、その上で不安を乗り越える手法だとか、そもそも不安に思うことが本当に大事なことなのか(些細な事で悩んでいるだけではないのか?)といった事は非常に本質的な解決法だと思う。前者のような不安の分析は、ただただ漠然とした不安感を抱いている人々には困難かもしれないが、そういった考え方は病的ではない、通常の人々が抱える不安を克服するステップとしては有用だ。また、後者はそもそも些細な悩みは悩んでも仕方がないといったことを考えることで、様々な人が恩恵をうけることが出来る不安の回避法でもある。
また、不治の病と言われた人々が気を楽にすることによって、不治の病を克服したといったように病は気からといったエピソードも多い。こういった表現については、本書が1948年に初版だったことを考えると時代背景が濃いことも否めない。2016年では胃潰瘍はもはや致死的な病とはいえないし、昔不安が原因と思われていた疾患でも原因が突き止められたものは多い。病気を克服できたのはラッキーだからだろう、といった印象を持つものも多い。ただ、病気を持つ人は体が感じるよりも強く不安を感じるもので、メンタルがいかに人体に影響をあたえ、一方でメンタルから克服することで乗り越えられる病気もあったのかもしれないといったのは本書中では印象的なエピソードとして語られている。
今現在悩みを抱えている人が一旦悩みのことを忘れて読むと得ることがとても多いと思う。
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