最近都内にマンションを買って引っ越しました。不動産バブルと言われる中、物件を買うのにあたっては綿密な調査が必要です。公表されているデータを分析して地域と価格の関係を分析してみました。
家買ったら安泰は大間違い
日本人は住宅購入非常にこだわりが強く、買うまでに、
賃貸か、持ち家か?
マンションか、一軒家か?
新築か、中古か?
と言った代表的な対立軸に悩み、その後に、
価格
場所
広さ
間取り
駅からの距離
向き
と言った果てのない問いを繰り返し購入を決めていきます。
こうした家の購入に果てしないエネルギーを費やすのも、「終の住処」というような概念が日本人に定着しているからなのでしょうか。
ちなみに終の住処という概念には私自身は反対です。若くして一度決めた住宅に根を張り生涯住めるほど世の中安定していません。住環境に求めるニーズは人生のステージごとに変わります。一人暮らし、DINKS、子育て、子育て後の引退前、引退後、健康が失われた時期などを経ます。仕事柄その最後のステージの方を見る事は頻繁にありますが、持ち家に住みつつも若い頃に作った家は老後の生活は向かないことも多いし、介護の受け方も制限されてきます。ステージごとに変わるニーズを汲んだ生き方をするには何回かの転居を織り込む必要があると思います。
株式投資との類似性
仕事でまだまだ異動の可能性も高いのでそもそも持ち家は嫌だ。という考え方の違いから、家族内議論が巻き起こった末に、結局私の方が折れました。ただし、高騰する住宅市場でコケるとエライ目にあいます。ローンを組んで購入する住宅は株式市場に例えると、レバレッジをかけて個別株の一つを全力買いするようなもの。ただ、自宅の場合は売却によるキャピタルゲインの最大化を狙うのではなく、買い替えの際の値下がりをなるべく避けるのが一つポイントになるような気がしていました。
これはベータの低い割安株を長期ホールドする有名な投資家、ウォーレンバフェットにも通じる考え方なのでは!?
と、謎の閃きを得た当時、とりあえず都内の物件の分析をしてみることにしてみました。
分析元のデータ
とりあえずの目標を、住宅の単位面積あたりの価格が一覧できるようにマップにプロットすることを目標にしてみました。
日本は便利なもので、
◯ 不動産取引価格情報ダウンロード
http://www.land.mlit.go.jp/webland/download.html
ここのwebサイトから日本各地から集めた不動産取引価格情報の一覧をダウンロードできることが分かりました。
これで都内の10年分の取引データをまとめてダウンロードしました。
Rを使って価格情報を統合した後にマッピングしていくためには、Shapefile形式の地図データが必要になります。
これらも以下のようなWebサイトからダウンロードできます。
◯ ESRIジャパン
◯ e-Stat 地図で見る統計
◯ 国土数値情報
Shapefileの取り扱いなどは以下のブログサイトなどが参考になりました。
Rでの地図の描画については最近は {jpndistrict}というパッケージがあり、このパッケージを利用すると簡単に描画できるようです。が、地図の塗り分けなどに対応しているかわからなかったのとRのバージョンの問題で今は使えなかったのは今回は使用せず。
参考: https://suryu.me/post/rgis_advent_calendar_day1/
jpndistrict: 日本の行政区域地図を容易に描画するパッケージ
都内不動産の取引価格マップ
実際に描画してみると東京のマップなんかはブログ記事などを参考に簡単に描画できました。
東京23区そこから不動産取引価格データをいじって、
1㎡辺りの価格 = 取引価格 / 床面積
を求めて、街ごとの平均価格を求めてみます。(外れ値はその過程で除外しています。)
例えば、この10年間で港区六本木の物件が132万円/㎡で取引されていたというようなことが分かりました。
地図データと統合して、中央値を白、安い場所を青、高い場所が赤くなるようにマッピングしてみます。
するとこのようなマップが得られました。
直近10年間の東京23区不動産取引価格(円/㎡)
マップを見てみて見ると、皇居を中心に都内の取引価格は高く、周辺に行くにつれて価格が安くなる傾向が有ることが分かりました。
千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区、文京区などのいわゆる都心は価格が高いのはやはり想像通りです。
これから知りたいこと
ただ、このマップは10年のデータをただ俯瞰しただけで、様々な疑問がわきます。
・中央地が価格分布の中で下に偏りすぎて、安い住宅の差がわかりにくい
→対数変換すると低い価格の変化が推定しやすい。低価格帯の区での色の濃淡がよく分かるようになる。
直近10年間の東京23区不動産取引価格(対数変換)(円/㎡)
・そもそも、現在の住宅情報を見てみるとこれらのデータに比べると非常に高い。
→住宅価格が右肩上がりに上がっており現在バブルの状況
→経時的な価格変化の分析が必要。
・狭い範囲でも駅からの徒歩距離などでも価格が結構変わるのでは?
→駅からの徒歩距離もデータにあるので分析できる。
・築年数による劣化もごちゃまぜになっている
→築年数で層別化+取引年代で補正することである程度建物の経年劣化による価格低下も推定できる。
・データを紹介するだけで個人の嗜好からどの物件がいいかはこのマップからは分からない
→個人の嗜好は別問題なので一度ニーズを分析してから適切なデータ分析を追加しましょう。
大量のデータがあるので少し都内の住宅市場の分析を今後紹介してみようかと思います。
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