一般NISAと積立NISAどちらがお得かを考える(後編)

Finance

実際に長期間運用した後のリターンは非課税によって変わるのか?

本記事では、シミュレーションを通して、一般NISAおよびつみたてNISAによる非課税の効果を測定していきます。

実際にシミュレーションしてみると非課税によって得する額は条件により変わってきますが、一貫してつみたてNISAの方が特になるようです。ただ、注意点もあるので後で紹介します。

2つを比較するときに5年という短期間ではつみたてNISAのせっかくの20年間の非課税のポテンシャルが発揮しきれないので、お互いに公平を期すために、例えば来年からNISAを使った投資を開始して、非課税期間が終わっても同じ戦略を続けて、30年後に売却するとどれくらいのリターンが得られるか、といった条件で考えてみましょう。投資額が少ない場合(40万円)、多い場合(120万円)のどちらのパターンも考えて一般の口座と比較してみます。グラフでは、各リターン毎に30年後にどれくらいの収益が得られるのか、あるいは非課税によって得をするのか、を示しています。

細かいことの補足です。実際に非課税分に影響するのは、一般NISAでは5年間でのリターンで、つみたてNISAでは20年間でのリターンだけなのですが、様々な条件を検討するために各々のテストでは30年間のシミュレーションを10万回分行うのを100種類のリターンずつ、6パターン分、行って統計をとっています。つまり、この記事には15億年分の投資の知識が凝集されています笑。統計好きな方のために、乱数発生の条件は正規分布で標準偏差は10%としています。リターンは1%から10%/年の範囲でシミュレーションを行いました。使用ソフトはRです。

40万円の投資が30年後にどうなるか?

まず、少額から初めます。つみたてNISAの限度額である年間40万円を使い切るだけの分の投資をしたときに、30年後期待されるリターンは以下の図のようになります。横軸が表すのは年間に得られた投資のリターンです。株式だと5-6%位を想定することが多いので、2%だと不調だった時、10%だと絶好調だった時ですね。グラフでは年間のリターンがいくらであっても緑のライン(つみたてNISA)が上に来ています。これは、つみたてNISAの方がリターンが高いことを示しています。

年間のリターンが2%程度だとつみたてNISAで30万円のリターン、一般NISAで26万円のリターンですが、年率6%ならつみたてNISA 170万円、一般NISA 154万円のリターン。年率10%ならつみたてNISAで572万円、一般NISAで529万円ものリターンが得られます。株式に投資して6%のリターンが期待通りに得られれば投資した額が5倍になって帰ってくるのはすごいことです。直近30年のアメリカの株式だと10%くらいなのですが、今後30年だと厳しいでしょうね。

株式市場は不確実で、実際に安定したリターンが得られるわけではなく、暴落するときもあれば給湯することもあるので実際の期待収益は上のグラフの帯のように分布します。大体60%くらいの確率で帯の中に入るはずですが、年間のリターンを6%位になるように投資をしたとしても60〜280万円くらいになるかなぁ、というくらい不確実です。リターンが0-3%くらいのところでは帯が0を下回っていて損する可能性すら示唆していますが、実際には期待リターンが低い投資(債券)などでは30年の運用ではリスクはもっと低いのでマイナスにはならないはずです。

実際に得する金額

30年後の収益を一般口座と比べるとNISA、つみたてNISAどちらも一般口座よりもリターンは良くなります。しかし、一般NISAでは0〜6万円分しかリターンが増えませんが、つみたてNISAでは0〜45万円分も節税による恩恵を受けることができます。特に、年率のリターンが良ければよいほどその節税による恩恵は大きくなります。これが毎年10%増えることによる複利効果が節税された分にも反映されているということですね。

少額の投資金額では文句なしにつみたてNISAに軍配が上がりました。しかしこの条件では一般NISAは120万円の枠の内40万円しか使っていません。次は投資金額を増やして見てみしょう。

 

120万円投資した場合の30年後のリターン

さっきと同じようなグラフを最初の金額を120万円に設定してやってみました。120万円の投資では一般NISAはすべてNISA口座に投資できますが、つみたてNISAは40万円分しか非課税口座で投資できないので80万円分は一般の口座で運用をすることになります。先程に比べるとグラフが近づいていてわかりにくいですが、実は120万円投資した場合でもつみたてNISAの方がリターンは高くなります。つみたてNISA口座のリターンは年率リターン2,6,10%でそれぞれ80, 472, 1624万円になります。一方一般NISAのリターンは年率リターン2,6,10%で78, 463, 1586万円になりました。

標準偏差から期待される不確実性はこのグラフになります。先ほどと同じように6%のリターンを期待して投資しても実際に得られるリターンにはかなり幅があります。

実際に得する金額

最後に、実際に得する金額を見てみると、つみたてNISAでは0〜45万円、一般NISAでは0〜14万円程度でした。結局つみたてNISAの場合は非課税枠をフルに使っているので得する金額も変わりません。一般NISAは先程の少額の投資だと枠をフルに使っていなかったのですが、今回はフルに使うことができたので税金による得の分も増えています。ただ、一般口座とくらべて一般NISAでは1%程度しか特をしていないため、その節税効果は限定的と言えます。

つみたてNISAのほうが有利

つみたてNISAでは非課税枠は少ないものの、長期に運用をすることで大きな複利効果を生んで、より資産が増えた状態で生産をするのでより非課税の効果が高くなります。特殊なケースでNISAの方が良かったということもありえますが、長期に資産を運用していきたい個人投資家のような方にはつみたてNISAのほうがオススメです。

ただし、注意点ですが、NISA口座は売った時点で利益が確定してしまい、移行の非課税を受けられなくなります。せっかくつみたてNISAを契約したとしても途中で売ってしまうとその恩恵を十分に受けられなくなります。もし投資の指針が決まっていなくて途中で売ってしまいそうだと思う人は一般NISAも選択肢にはなるかもしれませんね。

コメント

  1. NBT より:

    いつも更新他の楽しみにしてます。
    ひとつ疑問に思ったのですが、
    一般NISA期間終了後に、すぐに積み立てNISAをスタートした場合と、最初なら積み立てNISAをする場合とではどちらが得になるのでしょうか?

    • drkernel drkernel より:

      いつもご覧いただきありがとうございます。
      ある一年にどちらかのNISAを始める、という前提で検討しています。
      つまり、たとえばNBTさんが2019年に一般NISAで投資した分からは約5-6万円程度の節税効果が見込める一方で、その年に積立NISAをしていれば20年後に20-30万円分くらいの節税が見込めるという計算になっています。なので、投資戦略を変える気がないのであれば、どの時点であれ、積立NISAの方が有利だと思います。