ティリングハストの株式投資の原則(Joel Tillinghast)

Book

有名な投資会社であるフィデリティのポートフォリオマネージャーである、ジョエルティリングハストの書いた投資本。こうすれば儲かる、というような書き方でなく、バリュー投資の原則を語った、いわゆるスルメ系バリュー投資指南書。

本書は発売当初からバリュー系の投資家の中では評価が高かったような印象だったが、先日読んだグレアムの「証券投資」にも似た、哲学的なところがあるからだろうか?

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ティリングハストの銘柄選択

本書の考え方として一番完結に述べたのはこの一文だとは思う。

“簡潔に言えば、PERが低く、クオリティと成長性が高く、長期的な見通しに関する確実性が高い銘柄を求めることである。”

ティリングハストの株式投資の原則

バリュー系の例外でなく本書も企業の価値を良く吟味してポートフォリオに組み入れるのかを検討することを推奨している。一方で、感情的な投機、自分で考えないこと、安易な方法や流行をフォローしないこと、といった逆の推奨もされる。バリュー系の投資が報われるには忍耐が必要で、ティリングハストの原則を守っていれば長期的には報われるだろう、というのが彼の主張。

また、ボーグルらのインデックス投資に関しては一定の理解を示しているようには思われる。ただ、すべてを含んだポートフォリオよりは、より内容を吟味して選びだした企業だけをポートフォリオに組み入れるべし、というのがティリングハストの考え方になる。著名な投資家であるバフェットが言うように、安全でワイドモートを持つ企業を選ぶという点は変わらないが、フィデリティのポートフォリオはバフェットと異なり、非常に投資対象が多く数百以上にまで分散している。

数百というのは個人投資家にとっては少し管理が難しいのではないかな・・・と思う面もあるが、ファンドとしては安心感が強い気もする。一応、フィデリティのLow priced stock fundの保有銘柄はこちらのサイトで見ることができる。

twitterで小塚さんに教えていただいたのだが、フィデリティの日本株ポートフォリオも2020年12月の時点でこちらのブログにまとまっている。

本書の英語のタイトルはBig money thinks smallとあるが、Big moneyが自らのファンドのことだとしたら、重要なメッセージはタイトルにもあるthink smallだろう。think smallについて述べられたチャプターで、ティリングハストは以下のように述べる。

“間違いは小さいほど、概して容易に矯正できる。シンク・スモールを心がけることで、間違いの重大さや頻度を抑えるだけでなく、よりよい心構えを持ち、それを予測し、また修正することを可能とするのだ。”

ティリングハストの株式投資の原則

マクロな予測を当てていくのは通常困難であるため、細かなレベルで物事を考え、誤りがあれば自分の誤りを認め、修正していくべきだ、というのは投資だけに限らない長期的な取り組みについて常に重要になるようなメッセージではないだろうか。

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