伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール
- 作者: 高橋佑磨,片山なつ
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2016/08/05
- メディア: 大型本
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学会、ビジネスでのプレゼンや、提出する文章。教育、仕事の場面で資料作成は誰しもがやったことがあると思う。人に情報を伝えるためにはそもそもの「情報」は必須なので内容は皆が吟味することと思う。しかし、「どうやって伝えるか」は意外と疎かにしがちなポイント。他人のプレゼンを見ながら、見難い資料だと思ったことは誰しもあるはず。資料を見やすくすることで伝わる情報の質が変わる。本書はそのことをよく教えてくれる。
内容は同書籍のWebサイト( http://tsutawarudesign.web.fc2.com/index.html )でも確認できるので興味有る方はWebサイトを見てみると良いと思う。
文字のフォント、文字配置、インデントの使い方、オブジェクトの配置、色彩、など、資料のデザインにおいて重要なポイントが一つ一つ紹介されている。流石にデザインの本だけに見やすいし言葉も読みやすい。本書はそれぞれの要素がなぜだめなのか?どうすれば良いのか?ということを説得力有る形で提示する。本書を読まなければあまりこだわらなかったことも多く、目からウロコが落ちる体験を何回もしたように思う。
フォントにしても実はあまり理解しないで使っていた。私はmacユーザだが、「ヒラギノ」や「helvetica」は見栄え良く使うことがあるフォントだったがwinのパソコンではそもそも表示することができない。互換性を重視するのであれば「メイリオ」や「arial」とか「tahoma」で作るべきだった。それにMS Pゴシックとかは可読性や見栄えが悪いフォントで徐々に出番が減ってきたことも本書を読まなければ認識しなかっただろう。最近のofficeに入っている「游ゴシック」などは字面が細くてあまり使っていなかったが、本書ではMS Pゴシックやメイリオなどが進化しており、くっきりした輪郭と、字面が大きすぎず可読性に優れるようなことも紹介されている。
デザインといってもアートとは違う。見栄えを良くするというのはなんとなく格好いいことを目指すのではない。本書においてデザインを追求するとは、「情報を伝える」という目的に適った情報の提示の仕方を考えることなのだと感じた。読みやすい資料はアーティスティックな感性ではなく合理的なデザインに対する考え方があれば凡人にでも作成できるのだろうと少し励みにはなった。本書では、1文字1文字の幅を調節するカーニングなど、一部はめんどくさすぎて発表や提出までにはできないだろうというテクニックも紹介されている。しかし、本書の内容をちゃんと理解してやるべきことを考えて資料を作成すれば本当に見やすい資料が作れると思う。
本書を読んで思わずPowerpointのテンプレートを互換性を意識しながら作成し直してしまった。
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