2019年上半期のマクロを振り返る

Finance

2019年の上半期も終わってしまいました。個人的には結構忙しくて、あまり投資のポートフォリオを細かくいじることなくホールドしていることが多い期間でした。下半期のアセットアロケーションの参考にするために、上半期の各種アセットの値動きを振り返ってみます。

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マクロ環境で気になること

今年の上半期に常に気になっていたのは、米国の金利の動向と、世界の貿易でした。米国もやや景気後退を意識し始めてか、利上げムードも後退して、今年は利下げが行われる見込みです。

金利はまだ2%台で低いようにも見えますが、米国以外の先進国は軒並み低金利の政策になっています。周辺の国はどこも景気を刺激する政策をとっている中、7月のFOMCでの金利の動向は気になるところです。

あまり詳しくないですが、金利を上げれば引き締めになりますからこれまで通りFRBは財政縮小を進めることになります。金利を下げれば刺激になるのでさらに経済活動が活発になると予想されます。

ですが、どうも印象として投資ファンドは結構現金を持っている中でリターンを生み出す投資先を選びかねているような印象もあって、金利が下がってもむしろインフレの刺激になるような印象を持っていて、金に投資しています。

今週G20が終わり、最後のニュースで米国と中国の貿易交渉の再開が報道されました。貿易の懸念がなくなれば中国との順調な貿易でさらに製造業などは利益を伸ばすことができるかもしれません。

BBCから撮ってきた画像ですが、トランプ政権が主張する中国への関税政策が全て実現されると巨額の関税が中国からの輸入品にかけられることになります。

image from BBC

上半期の値動き

半年前は米国株が非常に下げていて、年初はこのまま株価下がっていくかな、と思っていたので少しショートしたりもしてみたのですが、見事に米国株は値上がっていきショートは全く機能しませんでした。

2019年1月から2019年6月の最終営業日までの各アセットに連動するETFのリターン(配当調整済み)をチャートにして振り返ってみると以下のようなグラフが得られました。

今回は、米国株: VTI, 新興国株: VWO, 債券: BND, 長期債: TLT, 物価連動債: TIP, REIT: VNQ, 金: IAU, コモディティ: GSGを対象に調査を行っています。

たった半年でVTIは18%ものリターンを叩き出し(昨年下がった反動もありますが。。。)、VWOも12%、BND 6%, TLT 10%, IAU 10%, VNQ 19%, GSG 11%, TIP 6%と、ほとんどのアセットが順調に上がりました。

とはいえ、もう少し細かく見ると株式やREITは1-3月によく上がりました。5月は新興国株が大きく値下がりしています。その頃から債券や金の値上がりが加速した印象です。コモディティは6月初めに一気に値下がった後に値を回復させています。

月ごとの分析

時系列のデータを1ヶ月ごとに集約して分析もしてみました。1つ目のチャートは直近1ヶ月のリターンをプロットしたものです。例えば2019年2月1日のVTIは0.12となっていますが、2019年1月2日〜2月1日のリターンが0.12(12%)だったことを示しています。

グラフが上にあるアセットがその期間は調子良く、下にあるアセットはその期間が調子悪かったということですね。

こうしてみてみると、先程の印象がわかりやすいと思います。年初は株式、REITが好調でした。3月-5月は混戦状態、しいて言えば金は値下がっていますね5月以降は債券、金が上がってきて、直近の半月はコモディティや新興国株、米国株がリターンを伸ばしてきています。

その直近1ヶ月のデータを使用して各アセットの相関係数を期間ごとにもとめてみました。全部の組み合わせを表示すると42種類ものグラフとなり見づらいので11種類をピックアップしてみました(十分見にくいですが。)

相関係数が高いのがグラフの上、低いのがグラフの下です。相関が低いアセットを組み合わせることでポートフォリオのリスクを抑えることができるのは有名な話ですね。

相関が高いのは、株式同士や株式とREIT、債券と金などの組み合わせ。相関が低いのは株式と債券、株式と金、金とコモディティといった組み合わせでしょうか。

1ヶ月という単位で見た相関なので時期により相関が強くなったり弱くなったりしますが大体の傾向で見ていただければと思います。

半年間をひとまとめにしてみた相関係数は以下でした。

  VTI VWO BND TLT IAU VNQ GSG
VWO 0.688            
BND -0.353 -0.229          
TLT -0.515 -0.333 0.891        
IAU -0.189 0.003 0.486 0.422      
VNQ 0.57 0.287 0.079 -0.046 -0.026    
GSG 0.441 0.338 -0.251 -0.29 -0.052 0.147  
TIP -0.176 -0.007 0.814 0.731 0.512 0.15 -0.054

アセットアロケーションは変更したほうが良い?

相関の解析をしてみようと思ったのは、実は理由があります。

しばらく前からオールウェザーポートフォリオのような感じでアセットを株式、債券、金、コモディティと分散させるようにしています。

毎月のリターンをチェックしていたところ、5月のリターンが-8%、6月のリターンが+15%と普段見られないくらい変動していました。

これってポートフォリオ的にはまずいのでは・・・?」と思ったのでアセットの値動きを良く見て見る必要があったわけです。

ここのETFの値動きに鈍感なせいであまり原因を突き止められていなかったのですが、5月は単純にVTIやVWOの値下がりが強く影響していたようでした。6月は金鉱株、金、VWOの値上がりでリターンが一気に押し上げられたようです。

半年ぶりのリバランスでは、アセットアロケーションは大きくは変えずに含み益の一部だけ利確して置こうかと思います。

ただ、株も債券もコモディティも全部高くなったのでどこに追加投資するのか迷う情勢ですね。

 

おまけ:解析コード

Rで動作する、今回の解析に使用したコードです。

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