生産性② (伊賀泰代)

 

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの

 

 前回の続きです。生産性を高めるためには4つのアプローチがあることを前回確認した。生産性を高めるというと日本企業的な考えでは手法をコツコツ改善しながらムダを省いていくという方法をとりがちだ。しかし、ビジネスの現場で本当に求められるのは、革新的にアウトプット量を高めるような発想になる。以下の本書はどうやって革新的なイノベーションを生み出す可能性を高めるかというアプローチを様々な角度から紹介する。

 

大事なアイディアとしては、
イノベーションを生み出す時間的余裕を職場に生み出す。
・時短だけを求めるのではなくて、最高のアウトプット効率も目指す。
・成長のポテンシャルがあるトップパフォーマーを積極的に登用してパフォーマンスを極限まで引き出す。
・トップパフォーマー以外のメンバーにもフィードバックを与えて成長の機会を常に用意する。
・インプット(仕事に使う時間)を減らすためにキッチンタイマーを使って自分のつまづきポイントを把握したり、メンバーが欠けた時に回す仕事のやり方を考える。
・ロールプレイングを行い実践的な研修を行う。
コンサルタント流の資料作成術、会議運営術を実行する。
といったことだろうか。

Creative workspace

 

もっとも本書の後半は生産性を高めるアプローチの各論として上記のようなことが紹介されているのだが、いちばん大事なのは、インプルーブメントにより生産性を高めることで最終的に目指しているポイントは常に飛躍的な生産性の向上につなげていくことだ。本書の後半のアプローチはインプルーブメント的な方法論が数多く述べられているが、これは手法を体系化しやすいから文章にしやすいだけにも思う。序盤に紹介されているイノベーティブな生産性向上という概念を頭に叩き込んでおけば、インプルーブメントによりでてきた余裕をイノベーションに振り向けることができるはず。

組織全体が生産性の向上に意識的になることこそが、イノベーションを生みやすい組織風土をつくるのです。というのも、組織全体で生産性の向上に取り組めば、イノベーションに必要なふたつの要素、すなわち、「Time for innovation」と「Motivation for innovation」が生み出されるからです。

伊賀 泰代. 生産性 (Kindle の位置No.451-453). ダイヤモンド社. Kindle 版.

コンサルタントの知り合いはいても彼らとは仕事の話をあまりするわけでもないので、コンサルの仕事術や、コンサルタントがお客さんに対してこのような事を提案して業績の回復や組織力の回復を狙っていくのかという視点では各論は刺さる人には刺さると思うのでぜひ本書を読んでみるとお薦めする。私はというと、早速本書を読んでとあるチャレンジをしてみたので、次回の記事でご紹介する。

 

・生産性を上げるための2×2マトリックスで考える4つのアプローチ。

drkernel.hatenablog.com

 ・クリエイティビティとイノベーション、リーダーシップの3つのつながりを取り上げた、伊賀さんイズムに溢れた本。

drkernel.hatenablog.com

 ・伊賀さんの本としては双璧をなすこちらもどうぞ。

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