電車やカフェに居る時に、周りの人の咳やくしゃみが気になる時がありませんか?咳エチケットしてくれればいいのに・・・と。インフルエンザになると職場からは出勤停止をくらいます。大変ではありつつも仕事できないよりは仕事するほうが好きな人間なので出来る限り自分がインフルエンザにかかることは避けたいものです。でも普段の生活の中でマスクをすることは本当に風邪の予防に有効なのでしょうか?調べてみると、意外とマスクの効果はちゃんと示されていないことが分かりました。
インフルエンザの伝播
アメリカ疾病管理予防センター:CDC(Centers for Disease Control and Prevention)によると、インフルエンザウイルスは感染した人の咳やくしゃみで飛び散る飛沫(エアロゾル)が直接鼻や口の粘膜につくことで感染が成立します。飛沫の大きさは5μm以上なので約1m以内の人間にしか通常は感染しません。病院などでインフルエンザが拡散するのを防ぐために取られる方法は
- インフルエンザ(疑い)患者を隔離する
- 患者と接触する際にはマスク、ガウン、手袋を装着する
というものになります。ただし、
However, no studies have definitively shown that mask use by either infectious patients or health-care personnel prevents influenza transmission.
と述べられているように、習慣的に行われている割にはちゃんと研究された方法ではありません。一方、病院以外の場所ではマスクもそんなに推奨されていません。病院で使われているような使い捨てマスクやガウンは一般の場所ではそんなに使われていないからです。病院で使用されるマスクは大量に使用する代わりに使い捨てなので頻繁に交換します。1枚のコストは10円以下が主流なはずです。一方でコンビニとかで売ってるマスクは60-100円もします。病院で使うのと同じ感覚ではコストが高くとても使えません。
感染の予防
有症状者
実はインフルエンザは症状がでる1日前〜発症から5日は感染しうる病気です。なのでインフルエンザと分かってから予防してもあまり意味はありません。感染の流行を抑えるためにCDCから推奨されているのはやっぱり咳エチケットでした。
- 咳やくしゃみが出るときには口や鼻を覆ってね。
- 痰や鼻水を処理するときにはティッシュを使ってすぐに捨ててね。
- 痰・鼻水や処理したティッシュとかを触ったら手を洗ってね。
というのが咳エチケットの概要です。厚労省が推奨している咳エチケットも同じような内容ですが、厚労省が出してるポスターがインパクト大。「進撃の咳エチケット」だそうです。インパクトは大きいですが町中で見たことがない、もったいない。
症状がない人
一番の予防はワクチンの接種です。ワクチの接種は特別な理由がなければ毎年するべき予防方法です。マスクも公共の場所でつければ予防につながることが証明されてるわけではありません。
要するに、咳やくしゃみをする人が責任を持って周囲に飛び散らせないようにすることが感染の予防には一番大事、というのが公衆衛生上の常識のようです。
とはいえ、全員に推奨することと、個人の行動はまた別物だし、記事が古めだったので公共の場所でマスクをすることで「自分の身を守ることができるのか?」について新しいエビデンスが出てないか調べてみました。
マスクの効果は?
一般的なマスクが全く効果がないのかというとそうではないようです。マスクをすることでインフルエンザウイルスを含んだエアロゾルをある程度防ぐことができます。(Effectiveness of surgical masks against influenza bioaerosols. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23498357)ただし、実際にインフルエンザの発症が減るかというと、有効な結果はでていないようです。PLoS ONEという雑誌に臨床研究が発表されていました。(Surgical Mask to Prevent Influenza Transmission in Households: A Cluster Randomized Trial http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0013998)インフルエンザにかかった家族がいた時に家庭内でマスクをするのとしないので感染する率に差が出るのかを検証した研究です。この研究ではマスクをしてもしなくても感染率には大差がありませんでした。研究は企画した時に予定していた372家族分を完遂すること無くたった105家族分しか研究できなかったようなので、もう少し数が増えれば結論も変わる可能性がありますが、限られた数でマスクあり vs マスクなしで16.2% vs 15.8%という結果では劇的な効果は期待できないでしょう。
色々調べていたら自己防衛としてのマスクはあまり意味が無いように思いました。もっとも、インフルエンザの方々を診察するときには自分の身を守るためにもこれからもしっかりとマスクをつけて診察しようと思います。
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