動脈硬化を有する患者に対する二剤併用抗血栓治療

Medical
ヨーロッパに引き続いて、FDAでも新規の抗血小板治療レジメンを承認したようだ。冠動脈疾患(coronary artery disease; CAD)または末梢動脈疾患(peripheral artery disease; PAD)を持つ患者の主要な心血管イベントを減らすためにアスピリンにリバーロキサバンの併用ができるようになった。
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COMPASS study

 
根拠になったのはphase 3のCOMPASS studyで、昨年NEJMで報告されている。
 
PMID: 28844192   DOI: 10.1056/NEJMoa1709118
 
 
リバーロキサバンは2.5 mgを1日2回、アスピリン 100mgに併用する。クリニカルトライアルでは、脳梗塞、心血管死亡、心筋梗塞のリスクをアスピリン単剤に比べて24%減らした。対象となる患者はすでにCADまたはPADを有している患者。主要心血管アウトカムはInternational Society on Thrombosis and Haemostasis (ISTH)クライテリアに基づいており、出血による死亡、主要臓器への症状を伴う出血、再手術が必要な手術部位への出血、入院が必要な出血。
 
 
脳梗塞は42%減り、心血管死亡は22%減った。心筋梗塞は14%減少した。副作用として問題になるのは大出血であるが、リバーロキサバンを併用した群はアスピリン単剤群よりも出血イベントは多かった(3.1% vs 1.9%)。しかし、死亡につながる、あるいは頭蓋内出血の有意な増加は認めなかった。2年間の観察で3%に大出血が起こる(1.2%増える)計算だが、治療対象となる患者がそれなりに多いことを踏まえると、出血への対策は十分必要だろう。ただ、脳梗塞、心筋梗塞などの減少によるメリットの方が大きいかも知れない。
 
 
主要なアウトカム評価については2剤併用群は単剤使用群に比べて合併症の発生をトータルで少なくしている。ただ、このトライアル、最終的に死亡率を低くすることまではできていない。NEJMに出て二剤併用のエビデンスが示されたからと言ってすぐに飛びつくほどのものではないと思う。
 
discussionでは、心臓病、リスクファクターがある患者でクロピドグレルとアスピリンを併用しても主要な心血管イベントをへらすことはできなかった。vorapaxarを抗血小板治療に併用したときは心血管イベントを減らすことができたが出血イベントのせいで死亡率を減らすことができなかった。 といった過去の試験が触れられている。
 
ところで、現状でPAD、CADを有する患者で一番使用されているのはクロピドグレル何じゃないか?と思っているが、二剤併用するのとクロピドグレルではどちらが良いのだろうか?
 
FDA Okays Rivaroxaban Plus Aspirin for Chronic CAD, PAD
 

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