これから投資を始める人こそリスクに敏感になろう

Finance

とある日、妻の投資戦略を練りつつ、以下のような基本的な知識を共有していました。
・各アセットクラスが生み出すリターン
・アセットクラスごとのリスク
ポートフォリオががもたらすリスク低減効果

最近の投資ブームの背景にはいろいろな環境が影響しています。
・好景気 → 投資は儲かる、という印象
・NISAやiDeco (個人型確定拠出年金)
投資のハードルが下がってきています。ただ、投資を始めた直後に暴落してすぐに撤退してしまい、結局損するだけで終わる人もいます。投資にはリスクがつきものです。許容できるリスクの範囲内のポートフォリオを組むことで精神的にも安心感が得られるでしょう。NISAやiDecoは税金が控除されるのがメリット(iDecoは積立てたお金の分の所得控除分もさらに節税)ですが、元本が減った分はただの損です。お得に見える制度でもリスクを意識しておくことは大事です。

非課税口座でのポートフォリオ

ところで、NISAやiDecoって同じポートフォリオで良いのでしょうか?難しいところですが少し変える意味はあるはずです。リスクが怖いのであればNISAはリスクを抑え目にした方が良いと思います。NISAは5年あるいは20年分は課税が優遇されますが、いつでも解約可能だし節税期間は短いです。一方でiDecoは基本的に解約できません。若い人は長期の運用で十分なリターンが期待ができますが、その間にどんなライフイベントがあるかわかりません。結婚、出産、進学、家族の不幸で急に出費が必要になった時、あるいは不景気が訪れて職を失った時、投資資産を取り崩す時が訪れるかもしれません。いざ必要になった時に不景気の煽りを受けて半分に目減りした資金を取り崩したくないものです。(リーマンショックで仕事を失った人はそれなりにいたはずです。彼らはせっかく投資した1000万円が500万円に減った状態で取り崩さなくてはいけなかったかもしれない。)お金がいるライフイベントに備えて運用資産はリスクの管理をしましょう。

妻にはNISAでVTIや楽天VTの積立を1年前から勧めていました。積立額が変わり簡単なレクチャーをして戦略を練りました。彼女は株式100%の暴落時の変化(リーマンショックで半額!)を見てもう少しリスクを減らしたくなったようです。そんなわけで投資の方針を変更。ウェルスナビを参考に資産を分散してリスクを抑えたポートフォリオを組む事ができました。今後しばらくは方針を変えずに積立を続けていく事になりました。

各アセットクラスの過去のリターンは、株式>債券>コモディティ>現金でした。

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株式(6.7%/年):企業が株主のために利益を最大化してくれて、再分配してくれる。リターンは高いが、価格が変化しやすく暴落の影響を受けやすい。

債券(3.5%/年):あらかじめ決められた利率に応じてリターンが決まる。ただ、利率が上がれば以前発行された債券の価格は下がり、利率が下がれば価格は上がる。株式が下がった時にはお金が流入してクッションになりやすい。ただ、これから債券の利率は上がるかもしれないのでこれまでよりはリターンは下がるかもしれないし、インフレには強くない。

コモディティ(2.7%/年):インフレに備えるには良い。ただ、別に金1gはいつも金1gなので別に富を増やしてくれたりはしない。

現金(-1.4%/年):インフレに対して弱い、安定しているとはいえ為替の変動を受けて価値は変わるし、長期的には価値は減っていく。

ウェルスナビの例はポートフォリオの参考としてとてもわかりやすい。ウェルスナビのポートフォリオはリスク許容度別にさまざまに設定されています。 https://www.wealthnavi.com/image/WealthNavi_WhitePaper.pdf

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ウェルスナビのポートフォリオを3つテストすると、2001年に開始すると元本が2.8〜3.3倍に増えるようです。

https://www.portfoliovisualizer.com/backtest-asset-class-allocation#analysisResults
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リスクを取るほど(リスク許容度5の方が)その増え幅は大きくなります。たまたまITバブルの時期なので株式はスタートから遅れをとって結局2018年の時点でもバランスをとったポートフォリオに追いつきませんでした。ドローダウンは株式100%では50%もありましたがリスクを抑えたポートフォリオでは17%しか下がりませんでした。
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分散したポートフォリオはリターンは劣りますが価格変動が小さく、損をするのが嫌いな人は分散をした方が精神的な安定が得られるでしょう。リスク選好という言葉がありますが、日本で生まれ育った多くの人は損をすることを嫌い、いざという時に備えて保険を買うのが大好きな、リスク選好が低い人が多いです。(ギャンブラーはリスクがあっても利益を狙うリスク選好が高い人。)投資の入り口に差し掛かった人が長期にくじけないためにも最初の何年かは堅実なポートフォリオを組んで、その間に勉強して、調節していくと良いのではないでしょうか。

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