超長期のレバレッジファンドのリターンを見る

Finance

前回の記事で超長期の債券インデックスをシミュレーションしてみました。完璧というレベルではないですが、チャートの形状やリターンは良く近似できることがわかりました。シミュレーションには十分そうです。

※2019/2/27債券ファンドシミュレーションを更新したため、こちらのシミュレーションも更新しています。

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株式インデックスの再現

再現、とは言ってもS&P500のインデックス自体はquantmodを使用すると1950年ごろから簡単に取得できます。ただ、このインデックスには配当が含まれておらず、実際の運用上では配当によるリターンは大きいため、配当込みリターンを計算する必要があります。

 

幸い、quandlという超強力なサイトで長期のS&P500のリターンが掲載(コード:MULTPL/SP500_DIV_YIELD_MONTH)されていたのでそちらを取得してインデックスに追加してみました。

 

S&P500のETFであるSPYの配当込みリターンとシミュレーションしたS&P500ファンドのリターンは完全に一致しており、相関係数は0.998でした。株式のリターンは高精度で再現できました。っていうか一致しすぎて赤線がほぼ見えません。

レバレッジファンドのシミュレーション

ここまで解析で導いてきた近似式、

(レバレッジファンドの1日の価格変動) = (インデックス(配当込み)の価格変動) × 3  −(支払う金利)×2

を元にレバレッジを書けた株式や債券ファンドのリターンをシミュレーションしてみました。金利はFREDから取得した1年債の金利を使用しています。

ただし、インデックス×3や金利×2については既存のファンドとの関係をより良く近似するために3.3や2.3など少し変更しており、また誤差を補正するための項を付け加えています。なので、実際の式としては
インデックス(配当込み)の価格変動×a(≈3) – 金利×b(≈2) + E(誤差項)
としてより実際のETFに近似するようにフィットさせています。

 

S&P500から作った3倍レバレッジ株式ファンド(疑似SPXL)は、実際のSPXLと相関係数0.97とかなりそっくりなリターンを示しました。また、シミュレーションから求めたレバレッジ長期債権ファンドもTMFと相関係数0.99でした。

ただし、レバレッジをかけていないファンドに比べると少し誤差は大きくなります。レバレッジを書けたときの金利やトラッキングエラーなどなど様々な誤差が発生している事などが影響しているのでしょうか。何れにせよ、数%程度はリターンに誤差が発生することは覚悟したほうが良さそうです。

 

2009/1/1〜 SPXL LevSP500
Annualized Return 31.2 33.1
Annualized Standard Deviation 41.9 40.8
Worst Drawdown 49.2 49.5
Annualized Sharpe Ratio (Rf=0%) 0.745 0.811
Sortino Ratio (MAR = 0%) 0.403 0.425

2009/5/1〜

TMF levBond
Annualized Return 7.02 7.23
Annualized Standard Deviation 38.1 36.9
Worst Drawdown 49.5 53.9
Annualized Sharpe Ratio (Rf=0%) 0.184 0.196
Sortino Ratio (MAR = 0%) 0.18 0.176

レバレッジファンドシミュレーションのリターン

各ファンドの累積リターンはこんな感じになりました。

レバレッジ株式ファンドのリターン

黒線がSPXLのシミュレーションです。青線のS&P500のリターンに比べても最終的なリターンは10倍になっていますが、リーマンショックでのドローダウンではS&P500を下回ったりしています。金利が高い時代もあり、70-80年の頃はほとんど増加していないのが特徴的です。また、各不況の時のドローダウンは凄まじいです。限りなくゼロに近くなるようなダメージを食らっています。実際のファンドならそのまま償還されているかもしれません。

しかし、度重なる不況の後でも米国の経済の回復とともに一気に巻き返して多大なリターンをもたらしています。レバレッジファンドはこの70年間で14.1%/年のリターンが期待できて、10000倍になることが予測されます。ただ、S&P500のリターンが11.1%/年なのでリスクを取った割に多いと取るか少ないと取るかは個人の感覚におまかせします。実際、バフェットのほうが良いリターンですね。

  Lev S&P500 Lev LT Bond LT Bond S&P500
Annualized Return 14.1 0.59 5.8 11.1
Annualized Standard Deviation 42.9 32 9.7 14.2
Worst Drawdown 96.1 98.8 21.8 50.9
Annualized Sharpe Ratio (Rf=0%) 0.328 0.0184 0.598 0.78
Sortino Ratio (MAR = 0%) 0.232 0.0781 0.305 0.375

 

レバレッジ債券ファンドのリターン

一方で、シミュレーションTMF(赤線)のほうは微妙な評価です。70年-80年にかけて米国の債券利率は上昇を続けていました。債券価格の変動を考えた時、利率の上昇が債券価格に与える影響は大きく、この期間、TMFを持っているとひたすら含み損に耐える必要があったはずです。実際、10年債(緑線)をただホールドしていればプラスになったのに、TMFのようなファンドに投資をしていたら焼け死にそうなダメージを食らっていたに違いありません。

 

利上げが終わり、債券のリターンがめざましくなった80年代以降はTMFは素晴らしいリターンを上げてくれています。利上げ時に長期債を持つと、目に見えて含み損を抱えるだけだ。シミュレーションは恐ろしい警告を発しています。

 

参照するインデックス自体に数%の誤差、金利分を引く際にも数%の誤差が生じうるので正確なデータとは言えませんが、全体の傾向が同様のものになるというのは確信を持っています。

 

次の記事ではいよいよ長期のデータをつかってROKOHOUSE式レバレッジPFのリターンを見ていきます。

 

シミュレーション

コメント

  1. 正太 より:

    とても貴重なデータで大変参考になります。
    公開していただき、ありがとうございます。
    続編楽しみにしています!