序章 リーダーシップはなぜ心に響かないのか
第一章 リーダーシップの旅
第二章 なぜリーダーシップが必要なのか
第三章 旅の一歩を阻むもの
第四章 旅で磨かれる力
第五章 返礼の旅
リーダーシップを旅に例える事でまず、自分の現状を”変えなくてはいけない”という気分にさせてくれる。と同時に、旅は人生をかけて続ける、長きに渡る旅であることも自覚しなくてはならない。旅、という言葉の印象からそれは未知の世界への一歩であり、不安も伴うものなのだろう。リーダーシップとは、そうした旅から自らの力で身につけるもの。しかし、それは旅の結果としてついてくるものであって、リーダーシップを求めるために旅をするわけでない。
リーダーシップについて知っていますか?という趣旨の問いかけから始まる本書は長めの段落の対談形式のもの。
“リーダーは「結果としてなるもの」だと協調したい。リーダーはリーダーになろうと思ってリーダーになるのではなく、行動の積み重ねの結果としてリーダーになるのだ。”“リーダーは、なろうと思ってリーダーになるのではなく、旅の結果、期間、生還した時に結果としてリーダーになる。”“不安や恐怖が頭をかすめ、思わず見がすくむが、それでも、沼を渡り森を抜けたい、青い空を見たい見せてやりたい、と思う気持ちがあなたに歩みを続けさせる。これが自分をリードするというリード・ザ・セルフだ。”“吹っ切れたリーダーは、フォロワーを導くのではなく、巻き込んでいく。沼を渡ろうと決断するのは自分一人だが、やがてリーダーの背中を見て、人がついてくる。この「振り返ると人がついてきていた経験」が、リード・ザ・セルフから、リード・ザ・ピープルへの橋渡しとなる”“「リード・ザ・ソサエティ(社会をリードする)という段階になると、この世界に、そして次世代のために、意味のあるものを残すという世代継承性(generativity)のテーマが見えてくる”
そして、リーダーたるもの、フォロワーの先頭をあるき、その危険な旅のリスクを背負いながら進んでいく。
“不安と確実性の中を、リスクを追って前へと進んでいくのがリーダーシップの旅だ。〜リーダーシップの度はきれいごとばかりではなく、危うさに満ちている。”“なぜ、移動の時に先頭かというと、旅は危険だからだろう。”
あくまでリーダーシップの旅は自己実現の旅でもある。夢をみて、それに向かってアルクことでフォロワーが生まれ、フォロワーとシンクロしていくことでより大きな夢へと向かうことができる。その自己実現の手段、目的について考えることから旅は始まる。旅をするまでに、それまでつちかった人生を一旦捨てなければならない場面が出てくることがある。しかし、忙しい中本来やるべきことをやらない、といった状況は慎まなければならない。
“つまりリーダーシップとは、リーダーとフォロワーの間でそれぞれの夢がシンクロナイズしていく過程であり、その中でリーダーの夢が全員の夢へと消化されていく。”“社会に何をもたらしどんなメッセージを送れるだろうと考えた時、リーダーシップの旅の第一歩が始まる。そのようにして生まれたリーダーが、結果として組織に最も大きく貢献するのだ。”“貯めこんだものが捨てられなくなると、人は旅への一歩を躊躇してしまう。”
リーダーに必要な要素についても以下のように述べられている。
“リーダーに求められる資質をあえて要素分解するならば、「構想力」「実現力」「意志力」「基軸力」の四つの力だと私は考える。”“彼(ジャック・ウェルチ)がリーダーにとって大切なものとして説くのは4つのE。すなわちエナジー(Energy)、エナジャイズ(Energize)、エッジ(Edge)、そしてエクスキュート(Excute)だ。“修羅場で、私達は自分と対峙する。対峙するとは、自分には何ができて、何ができないか、何を約束できて、何を約束できないかを明確にせざるをえない状況に追い込まれることだ。”
本書によれば生まれ持ったカリスマを持ったものだけがリーダーになるわけではない。各々が自己実現を目指す過程でフォロワーが生まれ、そこから大きな夢を追いかける過程でリーダーシップが形成されていく。リーダーシップはなにも会社の代表だけがもつべきものではなく、個人のレベルでぜひ持っているべきもの。そのためにもし日々の過ごし方が合目的でないのであればリスクをとってでも修正しようという気分にさせてくれる。自分を変えようという気にさせてくれる一冊。
コメント