個人心理学講義―生きることの科学 (アドラー・セレクション)
- 作者: アルフレッドアドラー,Alfred Adler,岸見一郎
- 出版社/メーカー: アルテ
- 発売日: 2012/05/01
- メディア: 単行本
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2013年に出版された嫌われる勇気で有名になったアドラー心理学。簡単な解釈本を手にして勉強して見たことはあったがあまりにも平易な解釈に落とし込み過ぎていたために根底的な論理が全く理解できず、本人の出版物を読んで咀嚼しようと思い手に取った。
アドラー心理学は「勇気の心理学」と言われるように個人の心理状態を変えることで全てがうまくいく、という内容なのかと思っていたが、本書の内容はその裏にフォーカスを当てたもの。すなわち、劣等コンプレックスを持つことと不利な状況に立たされる事で人は社会的に適応ができず、それが精神的な問題にまで及んだり、社会的な成功を得ることができないことにつながっている、ということだ。アドラーによればそういった劣等コンプレックスから引き起こされる負のカスケードを解決してくれるものが共同体感覚であったり、社会の協力であるという。この”共同体感覚”というのがなんなのかをよく理解することがアドラー心理学をポジティブな意味で人生に役立てるのに必須であると思う。劣等コンプレックスであっても優越コンプレックスであってもそれを個人のネガティブな側面にしない、仲間の感覚や、社会の支援がある事が個人の救済に繋がるというのが本書の結語であり、アドラー心理学の真髄なのだろう。
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