投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識
- 作者: ハワード・マークス,貫井佳子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/10/23
- メディア: 単行本
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ウォーレン・バフェットも絶賛し、Berkshire Hathawayの株主総会で配布したという本。
平均的なポートフォリオを上回るためには何に気をつけて投資したら良いのか?それはつまり投資家のスキルを上げる事でディフェンシブな戦略を取ることに尽きる。という結論となる。
投資には環境や心理的要因という普遍的な法則・リスクが伴う。成功する投資は運やすぐれた洞察力に裏付けされることにより平均を上回るリターンをもたらしうる。その際にキーになるのは二次的思考である。大多数に翻弄されうる一次的思考ではなく、コンセンサスと異なる正しい予測に基づいた行動をもたらす二次的思考により売りどきと買い時を見極めることが大切である。そもそも金融において定説となった効率的市場仮説が本当に常に成り立つのであればマーケットに勝つのは難しい。しかし実際には市場の非効率性は存在しうる。非効率性とはミスプライシングが行われることである。商品を割安に買うことができれば利益のチャンスである。それこそが二次的思考により見極めるものであり、アウトパフォーマンスの鍵となる。非効率性を検知するためには本質的価値を見極めたバリュー投資が不可欠である。テクニカルなどではなく、ファンダメンタルに基づき、今or未来の価値を見定めめる。
以前のニフティフィフティのような株式ブームでは株式の値段が上がりすぎて、買値が高すぎるということもあった。ここで高値づかみをした人々はほぼ例外なく損をした。心理面による値上がりに追従しないことがじゅうようである。株価は信用取引の投げ売りやミューチュアル・ファンドの買いによる不可抗力により変動しうる。心理面でサポートされたバブリーなもの、人気のあるものには手を出さないが吉である。リスクを取ることは資金を失う可能性に繋がる。しかしリスクを取らないことも機会損失につながってしまう。取引ごとの結果に揺れてはいけない。未来のリスクを見定め、リスクを認識し、コントロールすることが大事である。リスクをコントロールするためにリスクプレミアムを求める必要がある。金利が低い時にはリスクプレミアムを得にくい。そういったときついリスクが高いものに手を出してリターンをあげようとするが、実際にはリスク回避が重要。リスクがコントロールできれば落とし穴を避けることができる。
金融市場にはサイクルがある。いつどれほど上がり、逆はどうであるかを正確に予測することは難しい。しかし、人々が楽観的になっているときは高くなりがちである。しかし、市場は振り子のように、高くなりすぎた商品は値下がりする。振り子を見定めるのはまず賢明な人からであり、相場が動いてから愚かな人は群がってくる。
心理的要因には注意が必要であり、金銭欲が強欲に代わるとき損をする
自惚れや嫉妬、多数派への迎合は危険である。心理や完成を無視して、論理規範に従って動く必要がある。
とはいえ、無リスクの資産は無いに等しい。90年台のハイテク株ブームなどでは、ブームに乗らず、暴落を見定めたもの、本質的価値を評価したものが得をした。下がった時に買う、逆張りのアプローチが安全である。本質的価値がわかれば掘り出し物を見つけることができる、我慢強さ<チャンスが要求される。損を出す投資は見送らなければならない。しかし、リターンを注意するためにはリスクを上げつつ、低いリスクプレミアの物を持つことが大事である。ノーリスクで儲かるものは存在しない。
さきのことを知らないことは大事。しかし、サイクルの今どの位置にあるかを把握しなければならない。自分がいまどこにいるのか、を推測する。未来を予測してもサイクルの存在を無視してもよいが、前述のアプローチが必要になる。
運の影響力も侮れないが、スキルが大事である。論理力や知力、前段階での評価が必要。堅実な人は物事が動いた時に対応しうるポートフォリオを持っている。起きるはずの無いことを心配しすぎても行けない。
ディフェンシブに投資をすることで好景気の時は市場パフォーマンスにそった、不景気の時は損を最小限に抑えることができる。守りが大事である。集中投資やレバレッジをかけるような間違った行動をとってはならない。しかし、高リターンを狙うにはリスクの今日も必要である。損失をだす資産をポートフォリオに入れず、分散化させることが「誤りの許容範囲」として重要であり、長期的な高パフォーマンスをもたらす、市場は新しい技術・事業プロセスが生まれるとき、従来の雇用パターンが代わるとき、ルールが代わるとき、バリュエーションが代わるときに動く。底値で売却するのは避けるべきである。
投資家のスキルはアウトカムに影響しうる。投資家のスキルを表す”α”と、市場の動きに対してどれほどのボラティリティがあるかを示すβはリターンの空いてに役に立つ。何より大事なのはリスク調整後のリターンを評価することである。
いずれの書籍でも、リスクオフ、ディフェンシブなありかたが最終的に高リターンをもたらすのではないか、という印象になる。
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